[金属アレルギーは専門医に相談して?]
と、うたう文言を目にすることがあります。食品に関する食物アレルギーに関しても飲料に関しても日常目にすることが多々あります。
残念ながらお医者さんに金属のことを突っ込んで尋ねてもなかなか返答してもらえないのが現実です。
ドクターなら何でも知識を持っていると勘違いしがちで質問してみても、ジャンルが違うのですから金属の専門知識は持ち合わせていないのです。

金属を使ってジュエリーを作ったことがある皮膚科の専門医というのを探すのはかなり困難だと思います。金属アレルギーの専門家はむしろそれを研究して作っているジュエリー店の方だと思います。ドクターの金属素材の扱いよりも、ジュエリー工房の金属の取り扱いの方が日々研究されています。

個人的に、怪我をして傷口を縫うという現場に立ち会う経験をしたことが数回ありますが、糸ではなく金属性のホッチキスがふつうに使われます。約5日後抜糸ならぬ抜針の際、ドクターにその金属は何ですかという質問をしましたが、2度の施術とも返答はありませんでした。看護師さんが「さあ何でしょうねえ」というゆるい会話を交わしただけで帰りました。歯科でもメタルボンドに使用されている金属の材質を尋ねたのですが、そのときもくわしい組成は知らないとの返答をもらったことがあります。
実は抜針でもなく、正式には抜こうというのがほんとうのようです。治療と治癒に関して金属の素材は一般の患者にとっては、さしあたって問題にしないのが普通かもしれません。ですが金属アレルギーを研究している身としては、非常に興味があったわけです。ドクターはそうした知識のなさを追求されることは心外でしょうから、こちらもそれ以上詰めた会話は避けましたが、ピアッシングが原因で金属アレルギーを発症するのですから、そうしたホッチキスによる縫合でも起こりうると思ったわけです。その施術前に金属アレルギーの有無に関しての質問は受けたことがなく、出血を止め、傷口を一瞬で閉じることの利便性の方が優先されているのだと思われます。
実際、麻酔のひと射しプラスひと針の施術よりも、医療用ホッチキスの一打だけで済めば患者への負担も少ないという利点に対して同意してのことです。
のちのち現われる症状の可能性よりも、目の前の治療ということになります。アレルギー症状が出るひとよりも出ないひとの方が多い、くらいの認識かもしれません。

金属アレルギーの現状は統計などを見るまでもなく、身近なひとにもジュエリーでかぶれるひとが居ます。めずらしいことでなくなっているのが現状です。

皮膚科で行われる金属アレルギーの検査にしても日常あまり関係のなさそうな金属までもテストにセットになっていますし、花粉症アレルギーの検査にしても、ハウスダストや微小生物に対してたくさんの項目の試料をテストされます。
金属アレルギーテストの中に、チタンの試料がセットに入っていません。

専門医ではなく、金属アレルギー専門店へ相談
実際に金属アレルギーに感受性の強いひとは、何が知りたいのかを個別にチェックするのであれば、専門医ではなく、ジュエリー店の方へ行くべきです。金属アレルギーであればすべての金属が悪いかというと、そういうわけではありません。皮膚への負担をがまんして医院で調べ、分析結果がでればそれで解決にはなりません。
実際には、どのジュエリーを身に着けたらどういう症状が出ているかによく接している専門家はジュエリー店であり、どう対処してジュエリーを作ればよいのがわかっているのはジュエリーの専門家の方。

銀に対してアレルギーがあるなら、18金の指輪なら大丈夫かというと、そうとも限りません。18金ホワイトゴールドに銀がブレンドされてしまえば、パッチテストの意味がなくなってしまいます。それなら一番イオン化しないチタンであれば心配はしなくてすむことにもなります。金やプラチナも実用性を向上させる理由でブレンドされる異種金属が混入します。それに対し、チタンは純チタンです。あえて混ぜ物をする必要がない金属だから。
実用性を上げる=硬くする必要が、最初からないからです。